ピンチ過ぎでしょう。

本日のピンチ　【授業中にメールの着信音が鳴り響く】

　ウチの学校では、授業中はもちろんのこと休み時間中にも携帯電話の使用、電源ONが禁じられています。普段俺は携帯電話など持ち歩かないし、学校とかにも持って行きません。もし持っていたとしても20時間/日電源が入っていません。
　しかし今日は諸々の事情があって鞄の中にアレを入れっぱなしにしていたのです。しかも電源が入っていることに気付かずに。
　そしてその時―――13:10、時は５限目の数学、教室内に、突如として
｢ビー！ビー！ビー！｣
という警報のような音が響いたのである。それこそ我がたまにしか使用しない携帯電話のメール着信音「工場避難警報」。
　次の瞬間、教室中から｢ん？｣という声が聞こえました。
　俺はと言うと、心臓の鼓動が急激に激しくなり、全身に大量の酸素が供給されました。心も身体もまさに緊急事態。このような事態において想定される悪い結果は

①・携帯電話が没収され、数日間返還されない。
②・クラスの人間から携帯を持っていることを認知される。
③・教師に説教を喰らう。

です。
　①は、あまり携帯を使わない俺にとって何の問題も無く、悪い結果にも入らないようなものです。
　②は、｢高校3年にして携帯を持っていない変な奴｣というほぼ定着したキャラが崩れるので、生きる上で大事なことの上位に｢キャラの安定｣をランクする俺にとって重大な事態です。
　しかし最も危険且つ重大なのは、③。いや、ただそれだけのことならさほど重要視はしないでしょう。しかし、この時授業は数学。数学の先生は俺のクラスを担当する中でも屈指の厳しい人なのです。通常の授業では温和そうにしている割に、寝ている奴がいたりすると机を蹴り飛ばして起こし、廊下に立たせ、さらに謝りに行かなければならないのです。経験したからあの先生のヤバさはよくわかろうというものです。
　そして、一度怒られて後が無くなっている俺にとって、授業中に携帯の電源が入っていたなどということがバレたら命が危ういのです。
　あまりの緊張状態に無意識に手が震える俺。何だこの音はとざわめく教室。
　見つかるなバレるなと必死でした。しかし、この事態はいくつもの偶然によって解除されました。
　それは、まず携帯が鞄の中に入っていたことによって音がくぐもって聞こえ、それを聞いたクラスの誰かが｢外からか？｣と言ったこと。次に、その鞄が窓際に置かれていたこと。これによって外からであるという信憑性が増したのです。さらに、着信音が警報音だったために工事現場とかからのものではないかと皆が思い込んだこと。
　これらの偶然によって1分後には何事も無かったかのように授業が再開されたのでした。
　その後もしばらく小刻みな震えが止まりませんでした。

　今日の日記、長っ！